4.04.2015

KICS DOCUMENT.:SHIRT'S STORY

KICS DOCUMENT.は女性がデザイナー、パタンナーをされているためにメンズブランド
ではありますが、心なしか柔らかい雰囲気のためユニセックスな位置づけになります。
ブランド立ち上げ当初に、イギリスのカルチャー雑誌の「MONOCLE」に
取り上げられたことから日本国内での展開が少しずつ広がりました。

シャツブランドとして立ち上げ3シーズン目より少しずつジャケット、コート、
パンツ、カット&ソーなどトータルブランドとして展開しています。
シャツメインでKICS DOCUMENT.、更に高いグレードのシャツ、ジャケットなどの
KHONOROGICAと2つのブランドで構成されています。

今回はその代表的アイテムのシャツについて説明させていただきます。


このブランドの大きな特徴は素材、縫製すべてが日本製というところです。
縫製している工場は1968年設立されたシャツ工場で50年近くの歴史があります。
後に説明する仕様をこなす確かな技術を持つ工場です。



衿はフラシ芯を使用してるためソフトなイメージを保てます。実際接着芯と

フラシ芯、どちらが良いとか悪いとかはないですが、高級ドレスシャツメーカーの
フライ、ブリーニのシャツは接着芯で、ボレリ、アンナ・マトッツォなんかは
フラシ芯を使用しています。ピシッと綺麗なものを求めるならば接着、
柔らかさを求めるならばフラシでしょうか。



上が袖、下が身頃ですが、脇の縫い線と袖の縫い線がズレていますね。
コレは袖を後付けしている証拠です。一般的に大量生産されるシャツは袖も身頃も
一緒に縫っていくので縫い線がつながっています(お持ちのシャツを見てみて下さい)
効率がいいからですね。では、なぜセットイン縫製をするのかといいますと・・・

ジャケットなどでは当たり前となってきてます袖の前振り仕様。

普通の人間ならば腕は前に動かすことが多い、止まっていても体より前側にあることが
多いので動きやすくするために前振り仕様にしているんです。
それをシャツでもやっているんです。シャツで採用しているところは少ないですね。

そして、脇部分は3mm幅の本脇縫いです。縫い代が身体に当たっても気にならない
ようにしています。この仕様もどの工場でも出来るわけではありません。

そして背ヨーク。ダーツ、タックを取らずに肩甲骨の動きに沿うように
「カーブカッティング」を取り入れています。独自のカッティング技術により
着心地がいいんです。このカーブヨークと先ほどの前振りのセットインスリーブ、
そして前身頃と後ろ身頃の幅を変えることにより人間の身体の作り、動きにあった
シャツが出来ているんです。ストレスを感じないシャツです。

ステッチの幅って意外と気にしないんですが、簡単に出来る幅と技術がないと

出来ない幅があります。そんな細かいところもこだわっています。

そして、この工場では製品を水通しした後にじっくり天日干しをします。
その後、プレスをかけるんですが、風合いを損なわないよう丁寧に仕上げます。
1枚1枚丁寧に作られているんです。

生地も国内の機屋さんのモノを使用しています。定番ですとヘビーオックスと

微起毛加工のタイプライター生地が代表的な生地です。綿織物の名産地である浜松に
工場を構える機屋さんとブランドオリジナル生地を共同で開発しています。

着れば着るほど、洗えば洗うほど生地に味が出るというか風合いが良くなるというか、
とにかくなかなか出会ったことのない生地なんです。お店で着たときよりも
洗濯を繰り返すほど好きになるシャツなんです。


ボタンもこだわりを持って日本国内で作っています。
特にブランドロゴが刻印されているボタンはレーザーで彫った後に職人が
1個1個墨入れしています。職人技ですね。

カジュアルシャツでここまでこだわりを持った作りというのは世界的に見ても
少ないと思います。ドレスシャツの世界では歴史ある工房が今でも作りますが、
それでも少なくなって来ていると思います。後継者不足は世界各地での問題なんです。

ブランドコンセプトである「日本の職人技を守り、継承する」ことを各工場と
ともに実現していることもデザイナー武石さんの隠れた功績なんです。


言葉では書きましたが、ぜひ、実際に袖を通して抜群の着心地、シルエットを
体感して下さい。そして、洗濯を繰り返すことでよくなる風合いも体感して下さい。

次回はパンツについてご説明します。お楽しみに。

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